【事例紹介】千葉県富津市 簡易水道施設の更新事業

弊社では、地域の特性に合わせた持続可能な水道インフラの構築を目指し、小規模給水設備の設置 を行っています。本記事では、弊社代表が2022年~2023年に実施した 千葉県富津市 における給水設備導入事例(改修事業)をご紹介します。

千葉県富津市の簡易水道施設

設置概要

📍 設置場所:千葉県富津市
📅 設置時期:2022年12月~2023年3月
💧 給水開始:2023年4月~

給水システムの概要

🏗 浄水方式:上向流粗ろ過装置 + オゾン酸化+生物ろ過+MF膜ろ過+紫外線殺菌+塩素消毒
👥 給水対象人口:29名(計画時)

背景

当該地域は、山間部の沢水を水源とし、機械式の緩速ろ過システムを採用した簡易給水施設でした。しかしながら、施設の老朽化が進行し、水道水が常時着色するようになり、2019年10月の記録的豪雨による被害以降、水源の水量減少や雨天時の濁りが顕著となりました。また、住民の高齢化が進み、人口減少による施設管理負荷が住民らに大きな負担となっていました。

このような状況を改善すべく、簡易水道施設の更新が2022年度事業として実施されることとなりました。

本施設の特徴

上向流粗ろ過装置

更新前は、水源部に砂利ろ過設備がありましたが、毎年2回の砂利の洗浄が住民の大きな負担となっていました。これを更新時に「上向流粗ろ過」設備に置き換えることで、住民による砂利洗浄が不要となり、また原水中の砂泥をほぼ除去することが可能となり、浄水施設本体への負荷軽減につながりました

MF膜ろ過システム

濁り水や水道水の着色低減のため、管理負荷が低いMF膜ろ過システムが導入されました。MF膜ろ過では、濁質と着色物質のフミン質の両方を除去可能です。MF膜は一定時間ごとの洗浄とともに、定期的な薬品による浸漬洗浄を実施しており、導入から現在まで3年以上交換はしておらず、経済的な運用を実現しています。

オゾン酸化装置

着色物質であるフミン質はMF膜による除去が可能ですが、季節により着色度が高い時期があり、そのような時期はMF膜の頻繁な浸漬洗浄が必要となる懸念がありました。負荷低減のためにオゾン酸化装置を導入し、着色成分の酸化分解を行っています。分解した着色成分は、この後段に設置した生物ろ過装置でさらなる分解を行います。

生物ろ過装置

水中の溶解成分(有機物、着色成分分解物、栄養塩類)や濁質成分の除去のため、生物ろ過装置を導入しました。これにより、水道水の味の向上と、MF膜の浸漬洗浄頻度の低減に寄与しています。

自動塩素濃度調整装置

従来は、塩素濃度の調節を感覚的に実施していました。季節ごとに液中ポンプのつまみを調節し、配水する水の塩素濃度を調整していました。時期によって、多すぎたり、少なすぎたりすることもあり、またその調整作業が管理負荷ともなっていました。そのため、配水池の塩素濃度を設定濃度に均一に調整する本装置を導入し、管理負荷の低減につながりました。



今後の展望

この事例は、人口減少が全国的に広がり、水道施設の管理負荷の高まりが懸念される中、その負荷の低減を行いながら、安心で良質な水道供給の実現を示すものとなりました。
水未来研究所では、こうした 持続可能な小規模給水設備の導入を全国各地で進め、地域ごとの水道課題に柔軟に対応していきます。

本設備の詳細をお知りになりたい方や、同様のシステム導入をご検討の方は、お気軽にご連絡ください。