小規模分散型給水装置(Smart Spring System)の紹介

なぜ Smart Spring System(SSS)が生まれたのか

日本各地で、配管老朽化が進行しています。

その老朽化した配管距離は膨大ですべての配管を更新することは非現実です。

そのため都市郊外部の少人数の集落への配管更新はあきらめざるを得なくなり、新たな水道施設を整備する必要が出てきました。

しかし、人口減少と高齢化により、維持管理も容易ではなく、
「従来のような新しい水道施設を作っても管理する人がいない」

水は、人が生きる限り欠かせない命の基盤です。
どれほど小さな集落でも、たとえ10人しかいなくても、
安全でおいしい水を自分たちの力で守ることはできないのか。

私たちは、その問いに真正面から向き合いました。
そして、たどり着いた答えが Smart Spring System(スマート スプリング システム) です。

それは、「壊れにくく、管理が簡単で、自然の力で水をきれいにする」
古い水処理技術を使いやすく改良した小規模分散型の給水システム。

この技術は、山あいの湧き水のような自然の仕組みを手本に、
薬品も電気もほとんど使わず、だれでも守れる“やさしい水道”を実現します。

限界集落、離島、学校、公園──
どんな小さな地域にも「自分たちの水道」を取り戻せる未来を。
Smart Spring は、そのために生まれました。

コンセプト:自然の力で、人と水をつなぐ技術

Smart Spring System(SSS)は、
自然の浄化作用を活かして、水を「おいしく、安全に」する浄水システムです。

この装置の仕組みは、とてもシンプルです。
地元の川や池、井戸などから取り入れた水が、
砂利と砂を通り抜けるうちに、自然の微生物が水をゆっくりと浄化していきます。
その過程はまるで、山あいの湧き水が地中で磨かれていくようなもの。

使うのは、砂・砂利・微生物・そして重力だけ。
電気も薬品もほとんど必要ありません。
複雑な機械もなく、誰でも理解できる構造だからこそ、
地域の人たちが自分たちで守っていける水道になります。

Smart Spring Filterの名前にある “Spring” は、
「湧き水」と「再生」という二つの意味を込めています。
自然の力をもう一度信じ、地域の水を再び“生きた水”へと取り戻す──
それが、この技術の原点です。

構造と仕組み ― 自然を模した、最もシンプルな浄水技術

Smart Spring System(SSS)は、
自然の中で行われている「水の浄化サイクル」を、そのまま装置に再現した仕組みです。

構成はきわめてシンプルで、主な要素は以下の4つだけ。

1️⃣ 水槽(コンクリートまたはFRP/PP等樹脂製)
 水を蓄え、内部で段階的にろ過が進む主要構造。
2️⃣ ろ材(水道用の砂利・砂)
 目の粗い層で濁りを除去し、細かい層で微生物が活動する。
3️⃣ 配管と弁類
 水の流れを調整し、定期的な排泥を容易にする。
4️⃣ 土台・基礎部
 安定した設置を支える構造部。


🔷 水の流れ ― 「上向流粗ろ過」と「生物砂ろ過」の二段構成

SSSは、上向流粗ろ過(Upflow Roughing Filter)
生物砂ろ過(Bio Sand Filtration)の2段構成で水を浄化します。

▶ 上向流粗ろ過

原水をタンク下部から上向きに通すことで、
砂利層で濁質を物理的及び微生物の働きにより取り除きます。
1段で約50%の濁質を除去でき、多段構成にすればさらに高効率。
凝集剤や薬品は不要です。

▶ 生物砂ろ過

上段では、砂層の表面から深部に形成される微生物層が有機物や栄養塩類(窒素・リンなど)を分解。
結果として、水は天然の湧き水のように澄み、まろやかになります。
この過程でも、薬品や電力は一切使いません。


🔷 SSSがもたらす特長

  • 自然流下式:地形に高低差があればポンプ不要。停電時でも稼働。
  • メカレス設計:動く機械がほとんどないため故障リスクが極小。
  • ノーケミカル:薬品を使わず、結果的に廃棄汚泥もほぼゼロ。
  • 学べる構造:仕組みが非常にシンプルで、地域住民にも理解しやすい。

Smart Spring Systemは、
「水をきれいにする機械」ではなく、
“自然の働きを借りて、水を磨く仕組み” です。
それゆえに、壊れにくく、持続可能で、
人と自然が共に生きる地域にぴったりの技術といえます。

特徴:Smart Spring Systemの3つのゼロ

Smart Spring System(SSS)は、
「電気ゼロ」「薬品ゼロ」「故障ゼロ」という3つのゼロを実現する、
世界的にも珍しい水処理システムです。

それは、最新のテクノロジーではなく、
“自然そのものを最良の技術として活かす”という発想から生まれました。


⚡ 電気ゼロ ― 自然流下で動く、水道の原点

地形に恵まれれば、高低差を利用して水が自然に流れるため、ポンプや制御盤を必要としません。
停電時でも止まらず、災害時にも安定して稼働します。
電気設備の維持や電力費も不要で、
運転コストを限界まで抑えた「エネルギーフリー水道」を実現します。


💊 薬品ゼロ ― 化学に頼らず、自然の力で浄化

SSSでは、凝集剤やpH調整剤などの薬品を一切使用しません。
水の中に生きる微生物が、濁りを分離し、有機物、栄養塩をゆっくりと分解し、
まるで湧き水のような、やわらかな味わいの水をつくります。
薬品を使わないことで、産業廃棄物も発生せず、環境にもやさしい浄化方式です。


🔧 故障ゼロ ― 動く機械がない、壊れない設計

ポンプ・モーター・制御盤などの機械・電気部品を極力使わない構造のため、
故障や交換の心配がほとんどありません。
メンテナンスも、排泥弁を開ける・塩素を補充する程度。
誰でも扱える「人にやさしい水道」として、
高齢化の進む地域や離島などでも安心して運用できます。


🌿 だからこそ、持続できる水道へ

「電気ゼロ」「薬品ゼロ」「故障ゼロ」──
この3つのゼロは、単なる特徴ではなく、
地域が自分たちで水道を守り続けるための条件です。
Smart Spring Systemは、技術の力でなく、
“仕組みのやさしさ”で持続可能性を支える水処理システムです。

他方式との比較 ― 小さな地域のための最適解

現在、日本の浄水施設ではさまざまな方式が使われています。
それぞれに得意分野がありますが、人口が少ない地域や維持管理人員が限られる地域では、
従来方式の運用コストや維持の難しさが課題となっています。

Smart Spring System(SSS)は、こうした地域のために設計された、
低コスト・低負担・高持続性の新しい選択肢です。


🔹 主要浄水方式との比較

項目急速ろ過+活性炭膜ろ過方式(MF/UF)Smart Spring System(SSS)
除去性能濁質中心(有機物は限定的)濁質・細菌・色度も除去濁質+有機物+栄養塩類を自然除去
薬品使用必須(凝集剤など)必要な場合あり不要
電力使用中~高(ポンプ常時稼働)高(膜逆洗・制御)ほぼゼロ(自然流下運転)
維持管理専門知識が必要中(膜薬品洗浄・交換)簡易(日常点検と年数回の確認)
ランニングコスト中~高極めて低い(薬品・電気・汚泥なし)
適用規模1,000人以上100人以上10〜100人規模に最適
導入難易度高(設計・運転要員が必要)低(住民主体でも運用可能)
特徴大規模集中型都市型・中規模向け分散自立型・自然調和型

🔹 だからSSSは「分散水道時代」に向く

SSSは、単なる“低コスト方式”ではありません。
それは、「地域ごとに水を自立して守る」ための技術的基盤です。

  • 100人以下の集落でも導入可能
  • 電気*も薬品も不要で、災害時にも継続稼働
  • 維持管理は“誰でもできる”レベルに簡素化
  • 長寿命・低廃棄で環境負荷が極小

この「持続可能性 × 自立性」の両立こそ、
Smart Spring Systemが選ばれる最大の理由です。

*電気不要は地形に恵まれたとき。そうでないときも低電力。

適用事例・導入イメージ ― 小さな地域からはじまる「自立した水道」

Smart Spring System(SSS)は、
どんな小さな地域にも、持続可能な給水を実現できるように設計されています。
人口10人の集落でも、島の小学校でも、公園の池でも、
それぞれの地域の条件に合わせて柔軟に設計できるのがSSSの最大の強みです。


🌄 山間集落での活用

中山間地域では、既存の簡易水道が老朽化し、
更新費用が負担になっているケースが多く見られます。

また、高齢化した方々には管理負荷が重たい時もあります。

しかし、SSSなら、電気も薬品も不要な重力式浄水システムのため、
地元の水源(小川・湧水・沢水・池水など)をそのまま活用できます。
管理は、地域の方が月1回程度見回り、薬品補充する程度。
高齢化の進む集落でも、“自分たちで守れる水道”として安心して運用できます。


🏝 離島・漁村での活用

離島では、電源や補修人員の確保が大きな課題です。
SSSは、地形に恵まれれば電力不要で停電にも強く、部品の交換も不要

鉄分が多い井戸水や貯水池の水も、
SSSを通すことで飲料水レベルまで浄化できます。
災害時には、自立型の命の水源としても機能します。


🏫 公共施設・学校・公園での活用

災害時の非常用給水や、地域学習の場としても有効です。
SSSは構造がシンプルで、水がきれいになる過程を「見て学べる」教育ツールにもなります。


🧑‍🤝‍🧑 導入事例(抜粋・イメージ)

地域規模用途効果・成果
九州某集落30世帯既存簡易水道更新電気代ゼロ、水質安定、住民管理化
離島の学校約100人生活・教育用水水循環学習の教材として採用
山梨県某キャンプ場約50人来客用飲料水自然調和型施設として集客効果

🌏 だれの地域にも導入できる柔軟設計

  • 原水は川・池・井戸水などあらゆる水源に対応
  • 高低差を活かせばポンプ不要、平地でも小型ポンプで運用可能
  • 人口10人規模から100人以上の地域まで設計可能
  • 新設だけでなく、既存水道の更新・転用にも対応

Smart Spring Systemは、
「もう水道は維持できない」と諦めかけた地域の希望として生まれました。
地域の人が主役となり、自分たちの手で水を守る。
その第一歩を、SSSが支えます。

コストと維持管理 ― 長く続けられる“ほんとうの低コスト水道”

Smart Spring System(SSS)は、
「建設費を安く」「維持費を安く」「手間も少なく」という、
小規模水道にとって最も重要な3つの条件を満たしています。

これは単なる“安さ”ではなく、
「地域で維持できる現実的なコスト構造」を追求した結果です。


💰 イニシャルコスト(導入費用の目安)

規模想定利用人数概算費用(税別)備考
小規模モデル約10人用約1,000万円ポンプ不要地形を想定
標準モデル約50人用約2,500万円コンクリート槽・配管込み
中規模モデル約100人用約3,500万円前後地形・水源条件により変動

※上記には導水管・配水管を除く。
※自然流下が可能な地形条件での想定価格。

💡 他方式との比較(参考)
同規模の膜処理方式では、設備費が1.5〜2倍、
維持費が年間3〜5倍程度になるケースが一般的です。


🔄 ランニングコスト(年間維持費)

SSSは、薬品も電力もほぼ使わないため、
年間維持費は従来方式の数分の一に抑えられます。

項目内容頻度・費用目安
塩素剤補充消毒用塩素を補充月1回/数百円程度
粗ろ過排泥弁開放自動排泥弁の電池交換年1回 1500円程度
砂かき表層砂の攪拌・洗浄年1〜2回/約30分作業
点検・清掃全体の確認・落葉除去など年4回程度/軽作業中心

➡️ 年間維持費の目安:1人あたり 約500〜1,000円/年


⚙️ 維持管理の容易さ

SSSは「専門知識がなくても扱える」ように設計されています。

  • 電気設備がないため、電気工事士や制御技術者が不要
  • 薬品管理や汚泥処理がないため、産業廃棄物処理契約も不要
  • 部品交換は5〜10年に1度以下のレベル
  • 年1回の点検を弊社や自治体支援組織がサポート可能

また、将来的には、スマートフォンで流入弁を遠隔操作できる制御装置の導入も予定しており、
台風や豪雨などによる高濁度時の一時停止も、離れた場所から安全に行えます。


🧮 トータルコストイメージ(10年運用試算)

比較方式10年間の概算総費用(設備+維持)備考
膜処理方式試算中電気・膜交換・薬品費含む
急速ろ過方式試算中薬品・人件費含む
Smart Spring System(SSS)試算中電気・薬品不要、維持軽微

➡️ 約半分以下のコストで、同等の水質を実現。


🌿 維持しやすさが「地域の持続性」につながる

SSSの強みは、安さだけではありません。
管理が簡単で、誰でも続けられること。
これが、地域の水道を100年先まで守るための最大の価値です。

「複雑な機械はもういらない」
「自分たちで見て、触って、守れる水道を」

Smart Spring Systemは、そうした声から生まれた、
“持続することを前提に設計された水道”です。

導入プロセス ― 導入から運用まで、安心のサポート体制で

Smart Spring System(SSS)は、
地域や施設の水源条件・地形・利用規模に合わせて、
一つひとつ丁寧に設計・製作するオーダーメイド型の水処理システムです。

導入にあたっては、現地調査から設計、施工、運用支援まで、
すべてのプロセスを一貫してサポートいたします。
行政・事業者・地域団体など、どの立場からでもご相談いただけます。


🔹 Step 1:お問い合わせ・初期相談(無料)

まずはお気軽にご相談ください。
現状の課題や水源条件、設置場所の状況などをお伺いします。
ご要望に応じて、オンライン・対面いずれの形式でも対応可能です。

💬 例:
・老朽化した簡易水道の更新を検討している
・災害用の自立型給水設備を設けたい
・集落の井戸水を安全に飲めるようにしたい


🔹 Step 2:現地調査・原水分析

専門技術者が現地を訪問し、水源・地形・配水ルートなどを確認します。
同時に、原水サンプルを採取して水質分析を行い、
最も適した構造・容量・浄化プロセスを設計します。

※既存施設がある場合は、転用や部分改修のご提案も可能です。


🔹 Step 3:基本設計・概算見積

調査結果をもとに、概略設計・浄水プロセスフロー・コスト試算を作成します。
この段階で、行政向け補助金申請や事業計画書作成のお手伝いも可能です。
「自分たちで維持できる範囲で設計したい」というご要望にも柔軟に対応します。


🔹 Step 4:詳細設計・施工

正式契約後、詳細設計・部材選定を経て製作・施工を行います。
装置本体はシンプルな構造のため、
短期間(数週間〜1か月程度)での設置が可能です。
現場では、安全性・耐久性を重視した丁寧な施工を行います。


🔹 Step 5:試運転・操作説明・引き渡し

施工完了後、試運転を行い、実際の水質を確認。
管理者や地域の方々に、操作・点検方法をわかりやすく説明します。
「自分たちで続けられること」を重視し、
誰でも扱えるよう現場での実地研修を行います。


🔹 Step 6:アフターサポート・遠隔支援

導入後も、定期的な点検・水質確認・操作サポートを継続します。
オンライン会議や遠隔カメラによる“リモート伴走サポート”にも対応。
必要に応じて、現地訪問による年次点検も実施いたします。

🌐 いざという時も、
「誰に連絡すればいいか」が明確な安心体制を整えています。


📋 導入期間の目安

フェーズ期間の目安主な内容
相談・調査約1〜2か月現地調査、水質分析
設計・積算約2~4か月基本設計、積算
施工・試運転約3か月製作・据付・通水試験
操作研修・引き渡し1日〜数日操作説明、初期運用確認

➡️ 最短で6か月程度から稼働可能。
(季節・施工条件により変動あり)


🤝 私たちは「導入して終わり」ではありません

Smart Spring Systemは、地域の人が自分たちで維持する水道です。
そのため、設計者も「一緒に育てる」姿勢で関わります。
装置の導入はゴールではなく、
“地域に根づく小さな水道のはじまり”です。

Smart Spring Systemが描く未来 ― 水を守る力を、もう一度地域へ

日本の水道はこれまで、
「安心・強靭・持続」をめざして発展してきました。
その結果、どこに住んでも蛇口をひねれば安全な水が出るという、
世界でも稀な恵まれた仕組みが築かれました。

しかしいま、人口減少と高齢化により、
その仕組みを維持すること自体が難しくなっています。
費用も人も足りず、山間部や離島の水道を取り巻く環境が厳しくなっています。

従来の都市部からの水道ではなく、地元に小さな水道を作る必要性が生じてきています

費用と管理負荷を抑えた水道が必要
Smart Spring System(SSS)は、
まさにそんな望みに応える水道なのです。


🌱 自然と共に生きる、水の循環を再び

SSSは、自然の働きをそのまま利用し、
“汚れを浄化する”のではなく、“水を生かし直す”技術です。
人が自然に寄り添いながら生きてきた時代の知恵を、
現代の技術で再構築しました。

電気を使わず、薬品に頼らず、
自然の力で水をきれいにする。
それは、人間と自然が共に生きる新しい水道のかたちです。


🧑‍🤝‍🧑 地域が主役の「小さな水道革命」

SSSを導入した地域では、
住民自身が管理に関わり、操作や点検を覚え、
子どもたちも「自分たちの水道」を学びながら育っています。

それは単なるインフラではなく、
“地域が自立し、協力て水を守る仕組み”です。
地域が主役になり、地元の水を仲間らと知恵と手をつないで続けていく。
その姿こそ、これからの日本の水道の理想形です。


🌏 未来へ ― 持続可能な社会の礎として

Smart Spring Systemは、
「安くて便利な装置」をつくることが目的ではありません。
私たちがめざしているのは、
100年後も水があり、人が暮らし続けられる地域社会です。

経済的にも、環境的にも、世代を超えて続く水道。
それを支えるのは、最新技術ではなく、
自然の力と、人の知恵です。

Smart Spring Systemは、その二つをつなぐ“橋”として、
これからも地域とともに歩み続けます。


💧 最後に

「地元の水を、みんなで協力して水道に」
それが、私たち水未来研究所の想いです。

Smart Spring Systemは、
あなたの地域の未来を守る、
最もシンプルで、最もやさしい水のかたちです。